入学試験の話

4 12月

最近のことですが,仕事で入学試験を担当しました。今年何回目になるのか,とにかく試験に追われる日々です。

今回は推薦入試で,筆記試験と面接があって,今年から色々とやり方を変えたものですから,担当者としては手順書などの書類の準備に追われました。入試は対外的な仕事なので,準備は慎重になります。何が欠けても問題が生じます。結局すべての書類の準備ができたのが,試験の前日でした。

筆記では数学や物理の問題を出題し,面接の点数とあわせて合否を決めます。締め切りが厳しくて,その日のうちに採点しなければなりません。朝は筆記試験,午後は面接でこれが夕方6時頃までかかります。自分の方は朝の10時頃から動き始めて面接会場の準備をし,そのあと午後の面接に参加して,それが終わったら筆記の採点で,これが夜の10時過ぎにやっと終了しました。入試の主担当者で,加えて筆記試験の出題を担当して,一週間ほど前から準備に追われて疲労気味で,その状態での採点ですから,当然ミスが多い。二人で採点しているので何とかクオリティーを維持していました。入試ですから最低限の人数ですが。

面接が無事に終わってほっとしました。個人面接にして,それぞれの受験生にかける時間が増えて,終了までに6時間近くかかりました。受験生の体調が心配でしたが,無事に全員の面接を終えることができました。複雑な手順だったので,何事もなく終了したのが不思議です。運が良かったような気がします。

前回の編入学試験のときに感じたことですが,筆記試験と面接の点数を足し算するときの違和感といったらない。おまけに最終的には点数がすべてです。結果を他の先生方に見てもらって,合否を決めますが,10点ぐらいの差でも重要視されて,合否を決める根拠になります。試験を直接担当していた者としては,この合否を分ける点数の差にそれほどの意味があったのだろうかと疑問に思います。我々はこんな入試をしていたのだっけ?何を受験生に要求していたんだろう?全員合格でも良いと考えていたのですが,判定会議の結果、合格者は半分程度でした。

そもそも,入試の根拠はなあいまいです。物理の10点,国語の10点,これが同じ10点の重みだと,誰に断言できるでしょうか。まして筆記試験と面接の試験の点数を足し算することは,次元の異なる数値を足し算するようなものです。そんな計算に意味はありません。

入試はあいまいな根拠の上にかろうじて成立しています。試験を受ける側とする側の合意の上で許されて成立しているように思えます。それでは、入試が許されている根拠とはなんでしょうか。

続きはまた後で書きます。