神話学者ジョゼフ・キャンベル

25 5月

神話学者のジョゼフ キャンベルさんを師と仰いでいます。以前にテレビでインタビュー番組が放送されていました。6回ぐらいの放送でしたが、その中のインディアンの神話の話が非常に興味深かった。最近このインタビューが本になって出ていました。『神話の力』というタイトルで、早川書房から文庫で出ています。

番組の中で、祭りの最中に、少年が神がかりになるシーンがありました(最近youtubeにこれがあるのを見つけました)。若い女性、少女と言っても良いぐらいの女性数人が丸く座っているのを、少年等がダンスをしながら周りを周回します。だんだんと少年たちは興奮してきて、そのうちの一人が声を発して倒れました。彼は抱きかかえられ、周りものは彼に呼びかけます。ややあって、彼は正気に戻ります。この場面が印象深かった。

シャーマンとは何か、おぼろげに分かった気がして,それはたぶん,自分の内面に旅をして、そして戻ってこれなくなった人を呼ぶのではないかと感じました。

『千の顔をもつ英雄』という著書が有名です。世界の神話に登場する英雄には共通するパターンがあるというもので、顔はちがうけれども同じ登場人物であるかのよう。そのような意味を込めたタイトル名だと思います。英雄は旅に出て、困難に出会い、克服して帰還し、英雄となる。だいたいにおいて旅先で、意地の悪い国王から無理難題を持ちかけられます。モンスターが守る黄金の羊の毛皮を取ってこい、といった類のものですが、なぜかその国王の娘が手助けをしてくれて、宝物を手に入れることになります。広く同じ物語が語られているということは、その物語に象徴されるものが普遍的であるということです。モンスターは何を表しているのかと聞かれて、キャンベルは「自我だ」と答えていました。モンスターは宝物を占有しているが、その意味も分からず、宝物はモンスターから解き放たれて、輝きを放つ。我々は自我によって、自分自身のうちに閉じ込められているが、自我から自身を解放することによって、すばらしい人生が始まるという比喩。そうキャンベルは読み解きます。