夜中に見たドキュメンタリーに、背中からゾクゾク寒くなる恐怖を感じたのです。
32歳銀行員女性が、友人の紹介で34歳システムエンジニアの男性を紹介されて、やがて二人は付き合う。
そこから先は特に何も起こらなく時が過ぎゆき、銀行員女性が38歳の時、システムエンジニア男性に誘われたから、彼のマンションで一緒に暮らし始めた。
銀行員女性は、はじめは「結婚したい」と言っていたけど、いつも話をのらりくらりと避けられて、そのうち「私は子供を産みたい、子供が欲しい」と何度か言ったけれど、その返事ももらえなかった、
ただ続いていく同居生活の中で、銀行員女性は50代前半で認知症を発症してしまう。おかしいと思ったらしく一人で病院に通っていたけれど、システムエンジニア男性に言わなかった。(男性はのちに「自分に言えなかったんじゃないか、どうせ話を聞いてくれないと考えたんじゃないか」と語った)
認知症が徐々に重くなり、銀行員女性は退職を余儀なくされた。
システムエンジニア男性は介護保険や福祉の支援を受けるために、結婚している方が何かと分かりやすいから、同居22年目にして入籍した。「彼女が認知症になったのは自分のせいだ。母親にさせてあげれば良かった・・・違う人生があって病気にならなかったかも。せめてもの責任の取り方だ。」と。
元銀行員女性が要介護1の時から取材カメラが付いたのですが、要介護3になった女性は、男性と結婚していることを覚えていなくて「一緒に暮らしているのが怖い。怒られる。でも言えない。私は他に行くところが無いし自分の事が一人で出来ない。長野の姉たちの所に行きたいけれど姉たちも結婚していて家庭があるからできない。でも彼が怖い。」と恐れるようになった。
取材クルーが「今の気持ちを話してみましょうね。」と二人の間をとりなした。
それから、段差が分からなくなって夫が手を取らないと歩けなくなった。
しばらくして取材に行ったら、要介護5になった妻は、ただただ屈託のない笑顔で笑い続けていた。取材クルーの事はもう憶えていない様子。夫は世話は大変だけど安らかな気持ちでいるように見えた。
********
「同棲ってさあ、続けるほどに結婚からは遠のくよ?だって現状で便利なんだもの。わざわざ入籍しようなんて思わなくなるし!25歳の頃、友達が5か月くらい同棲してた彼氏に、『私とすぐ結婚するか別れるか決めて!』って結婚したの、あの頃は同棲じゃダメなの?って思ったけれど今なら理解できる!
健康で借金さえなければ結婚して良いし!いつまでもダラダラと一緒に暮らしたりしちゃ駄目だわ!」
うちの子に力説したけれど「で、なぜ同棲は駄目なの?」と、いまいち伝わらぬまま。
私は思う。結局、同棲ってのは 大人のおままごと よ。
結ばれるにしても別れるにしても、早めに踏み切れ、と。